ブラック企業大賞2018発表!!気になる大賞は?
こんにちは、たまこんにゃくです。
ブラック企業大賞企画委員会は12月23日「第7回ブラック企業大賞2018授賞式」を開催しました。
2012年から数えて7回目を迎えたブラック企業大賞ですが、今年も大賞が発表されました。
昨年の大賞は「アリさんマーク」でおなじみの引越社が選ばれました。
営業職をシュレッダー係に配属させるという見せしめを行ったのが大賞の理由でした。
2017年のブラック企業大賞はこちらから
2019年のブラック企業大賞はこちらから
では2018年の大賞の発表に移りたいと思います。
大賞~三菱電機
総合電機メーカーとしては日立製作所に次ぐ第2位で、日本を代表する企業であるにも関わらず不名誉な結果となってしまいました。
受賞理由は2014~17年にかけてシステム開発の技術者や研究職の男性社員5人が長時間労働によって精神障害や脳疾患を発症し、労災認定を受けていたことが発覚したためです。
そのうち3人は裁量労働制が適用されており、その中の2人が過労自殺していました。
裁量労働制というのは実際に働いた時間とは関係なく、労使間であらかじめ定めた時間(みなし労働時間)を働いたとみなす制度です。
労働者の裁量で労働時間をある程度コントロールできるメリットはありますが、会社がみなし労働時間として毎月何時間働いたという一定額の残業代を固定で支払うことで済む問題点があります。
つまり一定額の残業代を支払えば、後は何時間働いても残業代を支払う必要がありません。
この制度の悪い部分が前面に出たのが、この問題というわけです。
名古屋製作所の技術職の当時20代の男性社員がシステムの不具合のため、納期に間に合わすために月に100時間を超える残業を数か月にわたって行われた結果精神障害を起こし、2012年8月に過労自殺しました。
また兵庫県のネットワーク製作所の当時40代の男性社員も2016年2月に過労自殺する4か月前から従前の約5倍にあたる月80時間前後の残業が続き、そのことが原因で精神障害を発症していました。
4年間に実に2名が過労により自殺しているにもかかわらずに再発防止ができず、死には至らずも長時間労働を原因とした労災が3名も認定されているのは極めて異常のため大賞に選ばれました。
同社は今年3月に裁量労働制を廃止し、労働時間の性格な管理に力を入れる方針を明らかにしました。
ただ人事部は「労務管理に構造的な問題はない」としています。
ここに反省の色が見えないように見えますね。
問題がなければ過労死が起こるはずはありません。
そもそも事件が起きなければ対策がなされないというのは問題だと思います。
電通が話題になってから大手企業はホワイト企業という認識はなくなってきていますが、日本を代表する企業だからこそ社員を大事にする姿勢を見せて欲しいです。
特別賞~日立製作所・日立プラントサービス
三菱電機に続き総合電機メーカー第1位が特別賞を受賞しました。
この結果電機メーカーがワンツーフィニッシュを果たしました。
不本意でしょうがね。
ちなみに日立プラントサービスは日立製作所の子会社にあたります。
なぜ2社とも受賞しているかというと、受賞するきっかけになった従業員がどちらにも在籍していたからです。
2013年に日立製作所に新卒入社した20代の社員が、日立プラントサービスに在籍出向中に精神疾患を患い労災認定されました。
同社員は富山県の工事現場で設計・施工管理監督を行っていた際に、月に100~160時間の残業を続けていました。
さらには所長から「いらない」「着工まで不要」「めざわりだから帰れ」「仕事辞めてしまえ」といった暴言を吐かれ、勤怠記録も少なく申告するように言われていました。
言葉だけでなく座っていた椅子を蹴られるなど肉体的な苦痛も伴っていたようです。
さらには山口県の笠戸事業所で、数百人のフィリピン人技能実習生を不正に働かせていたことも明らかになりました。
彼らは電気機器組み立ての技能を習得するはずが、窓・排水パイプ・カーペット・トイレを鉄道車両に取り付ける作業しかさせてもらえなかったそうです。
しかも技能実習生の在留資格の更新ができないことを理由に、既に99人が解雇されていることも発覚しました。
これは技能実習適正化法違反にあたるとして法務省が調査しています。
大賞と同様に新卒の就職希望人気企業ランキングで上位にくるような会社でも、劣悪な労働環境にあるのは残念としか言わざるを得ませんね。
市民投票賞~財務省
ウェブサイトや会場での一般投票によって決定する市民投票賞は財務省に決まりました。
その中でもウェブでの投票は圧倒的な得票数だったようです。
民間企業しか選ばれないと思っていましたが、まさかの官庁でしたね。
2018年4月に福田淳一事務次官(当時)がテレビ朝日の女性記者に対して、取材中に「抱きしめていい?」などのセクハラ発言を行っていたことが報道されました。
その結果事務次官を辞任することにはなりましたが、セクハラ自体は否定しました。
麻生太郎財務大臣も「セクハラという罪はない」「男の番記者に替えればいい」と事態を軽視する発言をしたことも大きな問題になりました。
女性の社会進出を謳い民間企業にポジティブアクションを推進しているはずの政府の中枢機関でのセクハラ発言及び対応があまりにもお粗末だったことが、受賞の決め手になったようです。
会話の録音テープがあるにも関わらず、自身の発言を否定し果ては女性記者を訴えようとしたのが全くの理解不能です。
これはセクハラに対する認識の甘さとしか言いようがありませんね。
森友学園問題での文書改ざんに続いて不祥事が多発している財務省ですが、国民の模範となるよう体制を改めて欲しいと願うばかりです。
有給ちゃんと取らせま賞~ジャパンビバレッジ東京
ジャパンビバレッジ東京はサントリー食品インターナショナルグループ傘下の自動販売機オペレーション会社になります。
あなたは2018年夏頃にインターネットやテレビ番組で「有給チャンス」という言葉が話題になったのを覚えているでしょうか。
この話題が明るみに出たのは「ブラック企業ユニオン」という労働組合が入手したメールを公表したからです。
メールは2016年頃に「有給チャンスクイズ」という題目で同社の支店長から支店に勤務する労働者に送られました。
題目の通りクイズに正解した労働者は有給休暇が認められ、間違った場合は降格もしくは永久追放するとの記載もありました。
当然のことながら有給休暇は申請できるという権利ではなく、法律上当然に与えられるものです。
時季変更権は認められていますが、事業の正常な運営を妨げる場合でなければ有給休暇を拒否することはできません。
それなのにクイズに誰も正解できなかったため、有給を取得できなかったのです。
この支店長は有給を与えないだけでなく、労働者のミスに対して謝罪文を書かせてそれを支店の全労働者に送ったり、蹴ったりといった暴力を日常的に繰り返していたようなのです。
こんな人物が権力を握り続けていたというのは恐怖だったでしょう。
その状況でも労働者が屈せずに労働組合を通して事実を公表したことで問題が発覚しました。
加えて「事業場外みなし労働時間制度」を違法適用していることがわかり、残業時間が月100時間を超えている労働者もいたといいます。
しかも1日10時間を超える自動販売機補充の労働に7時間45分の給料しか支払われていないこともわかりました。
労働時間が多いのに有給休暇も取らせてもらえないとなると体調不良や精神疾患になってもおかしくありません。
といいますかクイズで労働環境が左右される会社なんて聞いたことがありません。
なんで降格や永久追放されるリスクを背負って有給を取らなきゃいけないんだって話ですからね。
該当の支店長は処分されたとのことですが、トカゲの尻尾切りではなく会社全体で改善に取り組んでもらいたい問題です。
まとめ
2018年は「事業場外みなし労働時間」が焦点になった企業が受賞しています。
ブラック企業の温床となっているみなし労働時間ですが、そもそもこれは労働者が効率よく働けるというメリットを享受できる制度です。
もちろんみなし残業代分を超過する場合は割増賃金を支払う必要があります。
意外とこれを知らない労働者がいるため、もし同じような待遇に悩んでいるなら泣き寝入りにはせずに正当な権利として主張しましょう。
昨年度から記事にしていますが、このブラック企業大賞は社会的制裁という意味でも素晴らしい取り組みだと思います。
そして労働者側にできることは「法律を知る」ということです。
法律は知っている人の味方です。
哀しいことですが、誰かが訴えることでしか問題は解決していきません。
最後までお読みいただきありがとうございました。