なぜハローワークの求人はブラック企業が多いのか!?元人材会社勤務が明かす転職に使ってはいけない理由とは!?

こんにちは、たまこんにゃくです。

あなたは転職活動をする時にはまず何から始めますか?
書類の作成や転職サイトに登録等様々ありますが、まず先にハローワークに行くという人は多いと思います。

雇用保険(いわゆる失業給付)をもらうための手続きはハローワークで行うため、そのついでに求人検索する求職者もいるのではないでしょうか。
ちなみに雇用保険を貰うためには認定日までに求職活動を2回以上している(初回は1回)という条件があるため、転職者にとっては否が応でもせざるを得ないという場合もあるでしょう。

そんな日本で最も知名度の高い職業紹介機関ですが、紹介された企業に就職してからのトラブルが後を絶たないとの情報がネットには沢山あります。

実際に私も人材紹介の会社で働いていた時に、人材を募集している企業の人事担当者様から色々な話を聞きました。
今回はその裏側と私自身がハローワークで就職活動を行った経験を書いていきたいと思います。

転職活動をこれから始めるもしくは既に始めている方に参考になればと思います。

 

ハローワークでブラック企業の求人が多い理由

そもそもハローワークとは公共職業安定所とある通り、厚生労働省設置法23条に基づいて設置されたれっきとした公的機関です。

しかし給与や待遇などが書かれた求人票と実際に働いたときの労働条件が違うという苦情が多く寄せられているのです。
せっかく仕事を始めたのに、条件の違いで退社してしまうことによって時間と労力を無駄にしてしまいます。

ではどうしてそんなことが起こってしまうのでしょうか。
大きく分けて3つの理由があると私は考えています。

一つずつ解説していきます。

 

無料で掲載できるため

ご存じの方も多いかと思いますが、ハローワークに掲載するために企業が掲載料を支払う必要はありません
通常人材紹介会社に掲載をお願いする場合は数十万円から高いものであれば百万円を超えるものもあります。

ちなみに金額が上がるほど掲載期間が延び、掲載順位も上がります。
最高ランクで掲載すれば写真だけでなく、動画を載せられる人材紹介会社もあります。

もちろん無料掲載できる会社もあるのですが、より上位のサービスを受けるための有料枠があるか広告費で稼いでいるのが一般的ですね。

しかしハローワークは政府が雇用の創出のために運用している機関であるため、企業の規模等によって掲載の順位や枠の大きさに差があるわけではありません

そのため公平性があることは間違いがないのですが、それ故に問題点ともいえます。

まず第一に予算のない企業であっても掲載ができてしまう点です。

かの戦国大名である武田信玄の名言に「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」という言葉があります。
どれだけ施設がよくても、どんだけ戦略がしっかりしていようとも、そこで働く人のモチベーションがなければ全く効果は生まれません。

そういった意味で採用に費用をかけられない企業であれば、研修制度に関しても不十分な企業なところが多くあるでしょうし、当然福利厚生に関しても手厚いとは言えないでしょう。
それはつまり社員を使い捨てにするブラック企業の求人が多いということになります。

確かになるべく費用をかけたくないという企業の気持ちはわかりますが、採用することにすらリスクを負えない企業に入社後の手厚いサポートが得られるかというと甚だ疑問です。

もちろん全てがそういう企業というわけではありません。
ただ有料の求人紹介に比べて多いということは間違いないと思います。

こういってはなんですが、ハローワークに応募してくる求職者は有料紹介会社に登録している求職者と比べて技量の質が低いというのが現状です。
これは私個人の意見ではなく、数多くの企業の採用担当者の方から「採用してもすぐ辞めた」とか「面接の時の発言と違い仕事が全くできない」といった話をよく聞いていたからです。

そのため費用をかけてでもミスマッチがなく良質な人材を獲得しようとする企業は多いのです。

ちなみにとある企業に採用の状況をヒアリングしたところ、有料の媒体を利用したが一人も応募がなかったため、ハローワークで様子を見ているというところもありました。
特に地方の企業であれば応募者が集まりにくいというケースもあるため、ハローワークを利用しているところもあります。

見分け方は年中広告を出しているか否かですね。
そういった一時的に利用している企業であれば、すぐ採用が決まるため募集も稀です。

しかしブラック企業はすぐに劣悪な労働環境によりすぐに退職者が出るため年中募集をかけています。

 

名ばかり求人が多いため

無料で掲載できることに紐づいて「名ばかり求人」が多いこともハローワークの問題点となります。
空求人とも呼びますね。

本来は採用するつもりがないのに別のメリットがあるために掲載を続けている企業があるということです。
これも掲載に関する費用がかからないために起こる弊害ですね。

パターンとしては3つあります。
1つめは助成金狙いの求人です。

ご存じの方も多いと思いますが、ハローワーク経由で採用することにより国から助成金がもらえるケースがあります。
代表的なケースのみ挙げます。

・トライアル雇用助成金~就職が困難な一定条件に該当する労働者を雇い入れた
・障害者職場定着支援奨励金~一定条件に該当する障害者を雇い入れた
・特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)~満65歳以上の労働者を一定条件で雇い入れた
・特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)~障害者手帳がない難病・発達障碍者を一定条件で雇い入れた

もちろんこれら全てがハローワーク経由でなければ給付されないというわけではありません。
しかし民間の職業紹介会社であればそもそも求人掲載に対して費用がかかるため、助成金のうまみが減ってしまいます。

そのため名ばかり求人はハローワークで横行しているというのが現状です。
これの何が目的かというと、助成金が支給されてから採用した労働者を何らかの理由で解雇する企業があるからです。

例えばトライアル雇用であれば原則3か月以上の雇用は必須ですが、それ以降本採用の義務はありません。
またいじめや理不尽な異動や労働条件の変更などで解雇まで持っていく企業があるとも聞いています。

2つめは広告代わりで利用している企業があるということです。

これはどういう意味かというと、そもそも人を採用するのではなく企業の知名度向上にハローワークを利用しているという意味ですね。
大手企業であればそんなことをする必要はないのですが、中小企業の特にベンチャー企業等は会社としての知名度が皆無です。

そしてそこで自社開発しているソフトやサービス等があればそれをハローワークに記載して多くの人に見てもらい、企業やサービスの認知度を高めるという方法です。

ただこれに関しては明確に行っている企業があるというソースはないため、あくまで信憑性は低いものと捉えてください。

最後にいい人がいれば採用するというスタンスで掲載しているケースです。

これは前述2つに比べればまだマシかと思われるかもしれませんが、これもかなり酷い話です。
なぜかというと「いい人」という条件のハードルがかなり高いのです。

無料で掲載できることをいいことに、今すぐ採用したいわけではないが優秀な人であれば採用してもいいという企業がかなりの数存在します。

100名以上応募してきたのに条件にマッチしないという理由で採用を見送った企業の担当者も見てきました。
しかもそういった企業は本当に人を採用したいときに有料の民間企業を使って採用活動を行うことが多いのです。

ちなみに私も以前ハローワークで紹介を受けた企業と面接を行ったのですが、選考結果が1か月半以上経っても何も来ず、ハローワークに確認しに行くとまだ最終選考中というIT企業がありました。

しかもそこはまたしばらく経つとしょうこりもなくまた掲載を始めました。
恐らく誰も採用しなかったのでしょう。

そんなところは応募しても時間の無駄にしかなりません。

 

求人票掲載の労働条件が実態と異なるため

ハローワークで掲載されている求人票が正しいと思って応募したのに、面接の時に違った説明をされるという相談が多く寄せられているのが実情です。

面接で言われるならまだ良心的で、酷い時には採用される段階の雇用契約書でより低い条件が提示されるというパターンもあるようです。

なぜこんなことが起きてしまうかという点について企業側とハローワーク側でそれぞれ問題点があると考えています。

企業がなぜ条件をよく書いてしまうかというと、これは想像できるかと思いますがより多くの人材からの応募が見込めるからですね。
残業が平均40時間なのに、たまたま閑散期の20時間を平均残業時間のように一部事実を過大表現しているところもあり実態の把握が難しいのが厄介なところです。

続いてハローワーク側としては求人票のチェック体制が甘いことが理由として挙げられます。
ご存じの通りハローワークで掲載されている企業の数は膨大に存在します。

それに対してチェックする職員は相対的に足りておらず、記載漏れがないかの確認だけで内容が正しいかの調査までは行えていないというのが現状です。

またハローワーク側としても国の政策に従い有効求人倍率の改善に向けて、企業に対して求人を出すようお願いしているため多少条件が違っていても掲載をしないという決断ができないということもあります。

しかしそれに関しては事実確認及び是正指導といった対策も行われているため、近年は労働条件の相違による申出の件数は減少傾向にあります。

また条件の相違による罰則化も検討されているようですが、どこまでが嘘かという明確な基準が設定しにくいため私個人としては顕著なケースでなければ裁くのは難しいのではないかと考えています。

 

ハローワークを転職活動に利用するための注意点

ここまで見てくれた方の中には、ハローワークを利用することによってブラック企業に当たる可能性が高いと不安に感じている人もいるのではないでしょうか。

ただ地域的に地元媒体が少ないとか、これから何をすればいいかわからない人にとってはハローワークを使わざるを得ないという人もいるはず。
そこで利用する際の注意点をここで記載しておきます。

細かいことをいうともっと分けることはできるのですが、ここでは大きく2つに分けてご紹介します。

 

職員の質が悪い

こちらについては全ての職員の対応が悪いといっているわけではありません。
私も劣悪な民間の転職エージェントに当たったことがあるため、結局は人によると言った方が正しいです。

しかしながらハローワークの相談員に対しての不満が民間企業に対して多いのは、人による当たり外れの差が大きいからではないかと私は考えます。
もちろん私が実際に転職活動を行ったときにも親身になって話してくれた相談員もいましたが、ムスッとした態度やアドバイスも見当違いだった相談員も多くいました。

ではなぜそれだけ当たり外れの差があるかというと、ハローワークに勤めている職員のおよそ3分の2は非正規職員であるからと見ていいでしょう。
非正規職員だからといって適当に仕事をしていると言っているわけではありません。

ハローワークの相談員と端的にいっても通常よく見る求職者の相談に応じる職業相談員の他に、各事業所との取次や訪問で求人開拓を行う求人開拓推進員等があります。
本来であれば全て正規職員で行うべきものですが、正規職員は減らされており、雇用情勢の変化によって随時非正規職員の受け入れ募集を行っているのが実態となります。

そしてここが肝なのですが、人事院によると非正規の国家公務員には「専門知識を要する恒常的な業務は想定されていない」ということなのです。
つまりは専門知識が必要な業務にも関わらず、知識に乏しい人であっても任用されているということになるのです。

非正規が働いているなんて民間であっても同じではないかと思う人はいるかもしれません。
確かにそうなのですが、民間であれば一定の成果をあげれば正規雇用の道もありますよね。

ですがハローワークの非正規職員がどんなに成果をあげようが、正規雇用の道は絶対にありません
これは公務員全体に言える話ですが、雇用の継続による正規雇用への無期転換は公務員には適用されないからです。

彼ら非正規職員は「期間業務職員」と呼ばれ、更新は最大2回を限度(最大で3年)として雇用関係は満了となります。
その度にハローワークで公募される求人に応募し、試験を受けなければなりません。

正規雇用になるにはそれこそ国家公務員試験を受けるしかありません。

自分の雇用が安定していないのに、他人の相談に乗るという状況でモチベーションが保てるのかという点は甚だ疑問です。
ノルマに関してもないわけではありませんが、頑張ったところで3年しか働けないですからね。

これは単に質が悪いというよりは、制度と環境のせいで満足に相談員としての責務を果たせていないというのが近いのではないかと私は感じています。

 

マッチング率の低さ

ハローワークを利用して就職した場合と、転職エージェントを利用した場合では後者の方が離職率は低くなります。

まずは応募者側について見てみましょう。
ハローワークでも転職エージェントでも初めて利用する時には登録が必要になります。

そこまでは同じだとしても、転職エージェントの場合は事前登録後に応募者のプロフィールを知った状態での面会があります。
しかしハローワークでは登録の時の担当者と、その後求人票を持って相談に行く担当者が同じとは限りません。

もっと言えば登録の時の担当者だって、応募者のプロフィールを見るためではなく登録の説明をする担当なのです。
つまり何が言いたいかというと、応募者のことをよく知らないのに適切なアドバイスができますか?という話です。

もちろんその担当者と何度もやりとりをしていけば別ですよ。

次に求人側です。

ハローワークに関しては「求人票掲載の労働条件が実態と異なるため」の項でも述べましたが、求人票に書かれていること以外の企業に関しての知識はありません。
わかるのはそれ以外に過去何回求人を出して採用何人だったかとか、マスクデータ(求人票で公にはしていない、例えば女性希望等の情報)くらいです。

それに比べ転職エージェントに関してはしっかりと電話及び訪問時にて採用に必要な情報をヒアリングしています
私は企業に「求人を出しませんか?」とアポを取る仕事をしていたのですが、法律上求人票には書けないけどほんとはこういう人が欲しいといった情報までヒアリングしていました。

採用担当者が抱える悩みなども聞けましたね。
だからその辺も考慮して最適な人材を登録者の中から探しやすいのです。

 

まとめ

正直なところ人材会社で勤務していた時の私としては、無料で求人を出せるハローワークは目の上のたんこぶであり最大の競合相手だったので多少偏見があったかもしれません。

けれど今私は人材とは無関係な仕事をしているので、あくまで公平な評価をしています。

タイトルで大々的に転職に使ってはいけない理由などと書いてしまいましたが、使わないで就職できるに越したことはないという程度のスタンスです。
就職活動に関しては間口を広げるという意味でも中小企業はハローワークにしかない求人というのもありますからね。

また転職エージェントは経験者希望が多いという意味でも、異業種への転職であれば利用するメリットもあります。

お勧めとしてはハローワークで気になる求人がもしあれば、ネット上で検索をかけて民間企業でも求人を出しているか調べてみることですね。
また相談できるようであれば色んな会社の担当者と話してみるください。

正直就職に関しては情報収集がカギだと思っているので、使えるものは何でも使っていきましょう。
ハローワークはこれから始めるためのツールとしては優秀ですが、デメリットもしっかりと理解した上で活用してもらえればなと思います。

よい転職活動になることを祈っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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